目次 · 読了時間 約8分
📱 カードニュースで見る
先月このコーナーで、ニューカッスル・ユナイテッドがオーナー系列企業だったセラに代わってKNOXと新しいユニフォームスポンサー契約を結んだという話をお伝えしました。
ところが、それから1ヶ月も経たないうちに、セラに関連した後日談がもう一つ出てきました。今度はユニフォームではなく、スタジアムの外、正確にはセント・ジェームズ・パークのゲロウゲート・エンド側、ストロベリー・プレイスにある「セント・ジェームズ・スタック」という空間の話です。
去る9月24日、この空間の新しいパートナーとしてコカ・コーラが発表されました。
まず紛らわしい部分から整理しておきます。ニューカッスルのホームスタジアムの名前は今もセント・ジェームズ・パークで、ここにはどんな企業名も付いていません。
2021年のPIFコンソーシアムによる買収以降、スポーツ・ダイレクトのロゴを取り除き、創設当初の書体によるクラブ名の看板を復活させるほど、スタジアム名だけは伝統を守る道を選んできたわけです。
一方セント・ジェームズ・スタックは、スタジアムの建物の中ではなくそのすぐ横、ゲロウゲート・エンドスタンドの屋根が張り出した構造物の下にコンテナを積み重ねて作った別施設です。つまりスタックはスタジアムの一部ではなく、スタジアムの外壁に付属する独立した商業空間で、だからこそチケットなしで誰でも出入りできるのです。
処刑場へ向かう道だったゲロウゲート
セント・ジェームズ・スタックがあるこの「ゲロウゲート」という地名自体にもいわれがあります。ゲロウゲートは文字どおり「絞首台へ向かう道」という意味で、1378年の文献に初めて登場するほど古い地名です。
実際にこの道は、有罪判決を受けた囚人たちがタウン・ムーア(Town Moor)にあった絞首台まで歩いた経路で、1650年から1829年の間だけでこの場所で44人が処刑されました。最後の公開処刑は1844年だったというので、19世紀半ばまで実際に使われていた地名だったわけです。
今ではその道の一角に、伝説的な監督である故ボビー・ロブソン卿を偲ぶ追悼庭園が造られていて、そのすぐ隣ではライブ音楽とカクテルのあるスタックが毎晩人々を呼び込んでいます。
同じ場所が数百年の間にまったく違う用途で使われているわけで、処刑場へ向かっていた道が今ではサッカーファンがビールを一杯やりに行く道になったという事実を知ると、この界隈を歩くときの感覚がずいぶん変わりそうです。

出典: Wikimedia Commons、Ultra7撮影、Public Domain · ボビー・ロブソン卿追悼庭園
セラが去った席に、コカ・コーラが入った理由
セント・ジェームズ・スタックは2024年8月にオープンした2,000人規模の複合空間で、コンテナ56個を積み上げた構造物の中にステージと大型スクリーン、複数の飲食店を詰め込んでいます。
開業当時は「セラ・プレゼンツ・セント・ジェームズ・スタック」という名前を掲げていましたが、セラは前回取り上げたとおりPIFと資本関係にあるサウジアラビアのイベント企業で、当時ニューカッスルのユニフォームスポンサーでもありました。
その3年契約が今年の夏、自然に満了したことを受けて、セラの最高経験責任者は公式声明でクラブへの愛着を語りながら別れを告げました。ユニフォームの席はKNOXが、スタックのプレゼンティングパートナーの席は今回コカ・コーラが埋めた形です。

出典: ニューカッスル・ユナイテッド公式サイト、コカ・コーラのパートナーシップ発表画像(2026年9月24日)
ここで興味深いのは、コカ・コーラがすでにプレミアリーグ全体の公式ドリンクパートナーだという点です。コカ・コーラは2025年5月にプレミアリーグと3年契約を結び、2025-26シーズンからリーグ全体の公式ソフトドリンクパートナーの地位を持っているのですが、今回はその上にニューカッスルという個別クラブとも別に複数年契約を一つ重ねたことになります。
リーグスポンサーが個別クラブの特定の空間まで別途契約するケースは珍しく、ニューカッスルの商業部門最高責任者デイブ・オコナーは「ニューカッスルを誇り高く個性的な都市にしているもの、サッカーと個性、音楽と文化、そして何よりお祭りの感覚を一緒に祝いたい」と所感を語りました。
来場者数と運営指標で見るスタック
スタックの規模を数字で見るとかなり大きいです。開業から最初の1年間でステージ公演が1,426回行われ、175人を雇用し、小規模事業者8店の出店を支援したとクラブ側は明らかにしています。
この実績を踏まえ、ニューカッスル市議会は2025年6月、当初3年だった運営許可を5年延長し、2031年まで伸ばしました。営業時間も週7日、午前10時から深夜0時までと、マッチデーに限らない常設空間である点が目を引きます。

出典: The Stadium Business、セント・ジェームズ・スタック外観(2026年9月25日報道)
空間活用とF&B — コンテナパークの二つの顔
現地のあるマッチデー観戦レビューサイトには、スタックを訪れた来場者の評価が数多く投稿されていますが、意見が分かれる点が興味深いです。
「食べる場所が数え切れないほどあって好みで選べる」「ライブ音楽があって雰囲気がいつも良い」という声が多い一方で、「週末や試合のある日はかなり混む」「パティオヒーターがあっても頭は暑くて足元は冷える」といった不満も見られました。
屋外空間ならではの限界と、混み合うほどの人気を同時に示すレビューだと感じます。マーケターの立場から見ると、天候に弱い屋外空間という弱点を、ライブ音楽や大型スクリーン、ミラーボールのような演出で相殺しようとする方向性が読み取れます。

広告インベントリ — 二重構造のスポンサーシップ
コンテナの外壁を見ると、スタックのスポンサーシップ構造が一目で分かります。コカ・コーラのロゴの横にKNOXのブランドが並んで掲げられていますが、前回取り上げたとおりKNOXはユニフォームとトレーニング施設の命名権も獲得しているスポンサーです。
この一つの空間にユニフォームスポンサー(KNOX)とプレゼンティングパートナー(コカ・コーラ)が同時に露出する構造になっているわけで、ここにグローバルブランドであるコカ・コーラがリーグスポンサーシップとは別にクラブ・空間単位のアクティベーション権まで買い取っているという点で、広告インベントリを何層にも分けて売る商業モデルをよく示しています。
地元商圏との摩擦、そして法廷まで
スタックが順調なことばかりだったわけではありません。ニューカッスル市内の100あまりのパブとバーが集まったNE1ホスピタリティ・グループは2025年8月、市議会がスタックの運営期間を5年延長した決定は違法だとして司法審査(裁判所が行政機関の意思決定プロセスが適法だったかを判断する手続き)を申し立てました。
彼らは「これは成長ではなく代替だ、スタックがニューカッスルの接客業の評判を築いてきたまさにその店から客を奪っている」と主張しましたが、スタックがマッチデーだけでなく週7日常時営業している点を問題視したものでした。
この訴訟は2025年12月に高等法院で棄却されました。担当判事はそもそも2023年の当初許可の時点で異議を申し立てるべきだったとして原告敗訴を言い渡し、原告側に市議会の訴訟費用1万7,145ポンド(約3,090万ウォン、9月28日基準1ポンド=1,802ウォン適用)まで負担させました。
この判決後もスタックはピルグリム・ストリートに市内2号店を開くなど、事業をむしろ広げています。

出典: ニューカッスル・ユナイテッド公式サイト、セント・ジェームズ・スタック5年延長関連画像(2025年6月)
KBO・Kリーグと比べてみると
韓国国内ではまだ、クラブがスタジアムの外にこうした常設の商業空間を自ら建て、その運営権をめぐって地元自営業者と法廷で争うような事例は見かけません。
むしろ今シーズンの観客増加の恩恵は、クラブではなく周辺の商店街の方に流れている様子が国内記事で確認できます。テグ・サムスン・ライオンズ・パーク周辺は今春の短期求人公告が前年比34%増え全国で最も大きな増加幅を見せ、チャムシル野球場(24%)やクァンジュ・キア・チャンピオンズフィールド(22%)周辺も似た流れだったと報じられています。
ニューカッスルのようにクラブが商圏を直接所有・運営する方式と、韓国のように増えた客が近隣の既存商店へ自然に広がる方式は真逆のアプローチと言えるわけで、どちらがクラブの収益にとってより有利で、どちらが地域社会との関係にとってより有利なのか、比較してみる価値があるように思います。
ユニフォームスポンサー、トレーニング施設、そしてスタジアム外の商業空間まで続くのを見ると、ニューカッスルが商業パートナーシップをどれほど緻密に何層にも積み重ねているか改めて感じます。その層の一つ一つが地域社会と摩擦なく定着できるかは、今回の裁判のようにこれからも注視すべき問題だと思います。

Leave a Reply