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セブンティシクサーズが公開したレブロン・ジェームズ加入発表画像

エクスフィニティ・モバイル・アリーナ訪問記 — レブロン加入でチケット5倍高騰、ユニフォーム即完売

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サイト運営者が直接執筆するプロスポーツマーケティングインサイト2026-09-17 · 閲覧 274
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目次 · 読了時間 約10分
  1. 観客数とチケット
  2. スペース活用とF&B
  3. グッズと広告インベントリー
  4. 放映権と地域経済効果
  5. 会場の名前と伝統
  6. KBO・Kリーグと比較すると
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7月24日金曜日の夜、レブロン・ジェームズは自身のSNSに一文を投稿しました。「これが僕の最後の決断になりそうだ」という言葉とともに、フィラデルフィア・セブンティシクサーズのユニフォーム写真が添えられていました。

引退まで真剣に考えたと言われる41歳のベテランが向かった先はフィラデルフィアで、その3日後の7月27日にクラブが公式発表を出し、2年800万ドル(選手オプション含む)の契約が確定しました。

現役マーケターとしてこのニュースに接して真っ先に調べたのは、試合日程ではなくリセールチケットの取引データでした。発表から数時間で動いた数字が尋常ではなかったからです。

それから1か月半ほど経った9月8日には、セブンティシクサーズとフィラデルフィア・フライヤーズが、2030年開場を目標とする新アリーナの外観レンダリングを初公開しました。同じオフシーズン内にスター選手の獲得と新施設への投資というニュースが並んだクラブなので、調べる価値は十分にありました。

セブンティシクサーズが公開したレブロン・ジェームズ加入発表画像

出典: セブンティシクサーズ公式サイト · セブンティシクサーズが公開したレブロン・ジェームズ加入発表画像

観客数とチケット

セブンティシクサーズのホームアリーナは20,478席規模(立見席含め21,305席、バスケットボール基準では21,000席前後)で、2025-26シーズン(レブロン加入前)の総観客数は78万8,871人と、NBA30チーム中9位でした。

悪くない数字でしたが、レブロン発表後の変化の大きさに比べると平凡に見えるほどです。リセールチケットプラットフォームのスタブハブは、発表から数時間のうちにセブンティシクサーズ戦の需要が約200倍、チーム検索数は約470倍に跳ね上がったと発表しました。

プレシーズンチケット販売の初週の需要は前年同時期比で約15倍、ホーム開幕戦のチケットはリセール市場で約500ドルまで上昇し、前シーズンの同じ席(約100ドル)の5倍の水準です。

平均チケット価格は前年同期比で100%以上上昇し、ニューヨーク・ニックス戦の開幕戦では一部の座席が4万8,000ドル近い価格で取引されたケースもありました。

今シーズンのセブンティシクサーズのホームゲーム10試合中9試合が、NBA全体でチケット価格が最も高い上位10試合に入るという分析も出ています。

シーズンチケットもクラブの公式サイトで「需要急増」と表示されるなど、まだ開幕もしていないシーズンのチケット市場が選手一人の契約でここまで揺れ動いた例は珍しいものです。

セブンティシクサーズのホームゲームが行われるアリーナ内部(2016年12月レイカーズ戦当時)

出典: Wikimedia Commons(Peetlesnumber1) · CC BY-SA 4.0 · セブンティシクサーズのホームゲームが行われるアリーナ内部(2016年12月レイカーズ戦当時)

スペース活用とF&B

現在の名称はエクスフィニティ・モバイル・アリーナですが、セブンティシクサーズが実際に使っているのはコムキャスト・スペクタコー(フライヤーズと現アリーナを所有する会社)の建物を借りている形です。

この建物は2025年までに約4億ドルを投じた複数年にわたる改修を終えており、プレミアムクラブ・スイート空間の拡充、コンコース(観客席の間の通路)の拡張、売店の待ち時間を減らすフリクションレス決済、高性能Wi-Fiなどが柱でした。

現地の観戦レビューを見ると評価は分かれています。座席の幅が狭く膝周りのスペースが足りないという不満が複数のレビューで繰り返される一方、売店の数自体が多くハーフタイムでも列がそれほど長くなかったという評価もありました。

ただ、休憩時間に人が集中する前に先にコンコースを見て回るといいというアドバイスを残したレビューもあり、これは結局、施設がどれだけ広くなっても、ピークタイムの動線設計が観戦満足度を左右する変数だということを物語っています。

座席自体を広げるのは既存の建物構造上限界があるため、セブンティシクサーズとしてはコンコースや売店の改善で体感満足度を引き上げる選択をしたと言えそうです。

2019年撮影の会場外観。当時の名称はウェルズ・ファーゴ・センターで、2025年にエクスフィニティ・モバイル・アリーナに改称された

出典: Wikimedia Commons(Jen Smith) · CC BY 3.0 · 2019年撮影の会場外観。当時の名称は「ウェルズ・ファーゴ・センター」で、2025年に「エクスフィニティ・モバイル・アリーナ」へと改称されました

グッズと広告インベントリー

レブロン発表後、最も早く反応したのはユニフォーム市場でした。公式販売代理店ファナティクスによると、レブロンのセブンティシクサーズ・ユニフォームは発表から48時間で移籍選手のユニフォーム歴代最大販売数を記録し、2023年の大谷翔平のドジャース移籍時の記録を上回りました。

大人用23番スイングマンユニフォームの初回入荷分は約2時間で完売しました。アリーナ内の公式ショップ、アウトフィッターズ・ファンショップでは、’47ブランドやミッチェル&ネスといったブランドの限定商品も併せて販売されています。

広告インベントリーの面では、ユニフォームパッチが興味深いタイミングを迎えています。セブンティシクサーズは2016年にスタブハブとともに、米プロスポーツ史上初めてユニフォームパッチスポンサーシップを始めたクラブですが、現在その枠を引き継いでいるクリプト・ドットコムとの6年契約は2026-27シーズンをもって満了します。

業界では、レブロンの世界的な知名度のおかげで、次のパッチ契約はさらに高値で売れるだろうという分析が出ています。

スター選手一人の獲得がグッズ売上はもちろん、ユニフォーム広告の単価まで押し上げているわけですが、マーケターとしては、このタイミングは偶然ではなく、契約満了時期を見越した獲得戦略の副産物だったのかもしれないと感じました。

放映権と地域経済効果

セブンティシクサーズの地域中継は1997年からNBCスポーツ・フィラデルフィアが担当しており、今シーズンは67〜69試合を中継し、Peacockアプリでも配信されます。

レブロン加入のニュースが伝わるとNBCスポーツ・フィラデルフィアが人員増強に乗り出したという地元報道があったほど、放送面でも体感する影響は大きかったようです。

リーグレベルでも、セブンティシクサーズの試合のうち最大15試合がABC・NBC・アマゾンプライムビデオといった全国放送枠に組み込まれる見通しです。

一方、新アリーナプロジェクトはチケットやユニフォームとは桁の違う数字で動いています。セブンティシクサーズのオーナー、ハリス・ブリツァー・スポーツ&エンターテインメントとコムキャスト・スペクタコーが50対50で出資するこのプロジェクトは、フィラデルフィア史上最大規模の完全民間資本事業として紹介されており、今後10年間で地域に約60億ドルの経済効果と約1万5,000人分の雇用を生み出すと試算されています。

新たに徴収される税収の一部はフィラデルフィア教育委員会の財源としても使われる予定です。クラブ共同創業者のジョシュ・ハリスは新アリーナの発表で、「フィラデルフィアのファンは世界最高のアリーナを享受するに値する存在であり、コムキャストとともにそれを作るパートナーシップを結べることを嬉しく思う」と述べました。

興味深いのは、現在使用中のエクスフィニティ・モバイル・アリーナの命名権契約期間が2030-31シーズンまでで、偶然にも新アリーナの開場目標時期とほぼ重なっている点です。

2030年開場を目標とする新アリーナの外観レンダリング(イメージ画像)

出典: フィラデルフィア・フライヤーズ公式サイト · 2030年開場を目標とする新アリーナの外観レンダリング(イメージ画像)

会場の名前と伝統

セブンティシクサーズのホームアリーナは1996年の開場後、名前が何度も変わってきました。コアステイツ・センター(1996〜1998年)→ファーストユニオン・センター(1998〜2003年、フィラデルフィアのファンの間では冗談交じりに「F.U.センター」と呼ばれることもありました)→ワコビア・センター(2003〜2010年)→ウェルズ・ファーゴ・センター(2010〜2025年)→エクスフィニティ・モバイル・アリーナ(2025年〜現在)と続いており、銀行が何度か合併を重ねるたびに建物の名前も変わってきたわけです。

命名権という概念自体がまだ馴染みのなかった時代から、この建物は常に誰かの名前を掲げていたのです。

施設そのものにもフィラデルフィアらしいユーモアと歴史が息づいています。セブンティシクサーズは勝利後にロッカールーム近くで自由の鐘(リバティベル)の複製を鳴らすセレモニーを続けていますが、この伝統はチーム成績が低迷していた「ザ・プロセス」というリビルディング期に、フィラデルフィアの歴史的シンボルを借りて生まれたものだそうです。

鐘を鳴らす選手を決める基準は特に定められておらず、その日の得点王のこともあれば、怪我から復帰した選手のこともあります。

マスコットは2015年から登場している青い毛の犬のキャラクター「フランクリン」が務めており、フィラデルフィアの象徴であるベンジャミン・フランクリンから名前を取っています。華やかなスター獲得のニュースの傍らにこうした小さな地域密着型の伝統があるというのは、歴史あるクラブがブランドを管理するやり方だと感じます。

KBO・Kリーグと比較すると

セブンティシクサーズの今回の新アリーナプロジェクトで最も目を引くのは、クラブが「賃借人」から「共同所有者」へと立場を変える点です。

現在使用中のアリーナはコムキャスト・スペクタコーの所有物のため、セブンティシクサーズは賃料を払ってホームゲームを開催するだけの立場でしたが、新アリーナからは50対50の持分で直接参加し、命名権や各種付帯収益を分け合うことになります。

この構造の変化は、韓国のプロ野球にも似た事例があります。昌原NCパークは昌原市所有の施設ですが、NCダイノスが2019年から2044年までの25年間球場を使用する対価として総額330億ウォン(建設費の前払い分100億ウォンを含む)を支払う代わりに、その期間中の球場名称使用権や広告権、売店・駐車場の運営収益までクラブが直接行使できる構造で契約しています。

単に賃料を払って試合をするだけでなく、運営権全体を引き受けて付帯収益をクラブの取り分にしたわけです。

セブンティシクサーズがあえてコムキャストと50対50のジョイントベンチャーを選んだのも同じ文脈で読み取れます — 賃借人という立場では、どれだけ人気が高まってもチケット売上以外の収益を丸ごと得るのは難しいからです。

スター選手一人が生み出す需要を最大限クラブの財務諸表の中に取り込むには、結局は建物そのものを誰が所有し運営するかが鍵になるということを示す事例だと思います。

シーズン開幕まではまだ時間があり、レブロンが実際にコート上でどんな姿を見せるかはこれから見守る必要があります。

ただ、契約書にサインした瞬間からチケット取引所やユニフォームショップ、放送局の人員計画までが同時に動いたという事実は、スターマーケティングの波及範囲が想像以上に広いことを改めて確認させてくれます。ここに新アリーナへの投資まで同じ時期に重なっているという点で、セブンティシクサーズがこのタイミングをかなり計画的に活用しているという印象を受けました。

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