目次 · 読了時間 約15分
- 試合が終わりコンサートが始まった — 2018年のピッチ公演からBIG CROWN LIVE 2026まで
- 文殊サッカー競技場はどんなスタジアムか — 鶴が舞い上がる屋根、ワールドカップ準々決勝の舞台
- 蔚山HDはどんなチームか — Kリーグ1で5回優勝、2025年9位から2026年2位へ
- 文殊サッカー競技場への行き方とチケットの取り方 — クラブ・競技場の公式案内より
- 観客とチケットの数字 — 2024年のホーム35万3,615人、入場収入58億ウォン
- フード・グッズ・スポンサー — 16店舗、常設店は2日で1億ウォン
- サッカー場の隣に野球団ができた — 文殊野球場と蔚山ホエールズ
- Jリーグと比べると — 蔚山の平均1万8,611人、J1の平均2万355人
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蔚山HD観戦の今年のハイライトは、2026年10月17日(土)午後4時30分キックオフの試合のあとにありました。蔚山文殊(ムンス)サッカー競技場の周辺は、キックオフの3時間以上前から渋滞し始めたそうです。
クラブが試合後に出した結果の報道には、キックオフの3~4時間前から駐車の問題が起き、イベントブースとフード・グッズ売り場のどこにも長い列ができたという一節があります。この日の入場者数は2万5,017人で、今季の蔚山の単一試合で最多でした。
マーケターとして、この数字でいちばん知りたかったのは試合内容ではなく、試合のあとにコンサートを足すと客席がどれだけ埋まるかでした。今季のこれまでの最多は7月11日の全北戦の2万173人でしたから、この日は4,844人多く入ったことになります。
Kリーグ公式の日程・結果データで今季の蔚山のホーム観客数を集計すると、11月1日の江原戦までのホーム18試合で合計20万6,696人、平均1万1,483人でした。この平均で見ると、コンサートのあった日は普段の約2.2倍が入った日です。
この記事では、文殊サッカー競技場に初めて行く方のために、行き方とチケットの取り方をクラブのお知らせと公開資料に基づいて整理し(確認日は2026年11月2日)、続いて蔚山HDの観客・フード・グッズの数字をマーケターの視点で読み解きます。
確認できなかった項目は、埋めずに確認できなかったと書きました。

写真: 蔚山HD提供(イルガンスポーツ2026年10月19日付記事掲載の報道写真) · 2026年10月17日、BIG CROWN LIVE 2026の公演中の競技場全景
試合が終わりコンサートが始まった — 2018年のピッチ公演からBIG CROWN LIVE 2026まで
BIG CROWN LIVE 2026は、ハナ銀行Kリーグ1の第32節、蔚山HD対富川FC1995の試合が終わった後に続いたステージでした。9月23日のクラブのお知らせによると、出演者はチェ・イェナ、チュウ、イ・ヨンヒョン、ソルジで、クラブはこの催しを100分以上の大規模な音楽フェスティバルと紹介しました。
同じお知らせには、蔚山が2018年8月にKリーグ初の試合後のピッチ公演(歌手ウン・ガウン)を開いたという経歴も書かれていて、8年前の試みが今回の規模に育ったという流れが読み取れます。
ステージ側の準備も大きなものでした。競技場全体にコンサート級の音響を追加し、今年初めに導入したスタジアム4面を囲む360度のLEDリボンビジョン(クラブはKリーグ初と説明)を演出に使いました。
クラブの発表では、高性能スピーカー120台以上に、ムービングライト、CO2噴射装置、ピンスポットが加わり、競技場全体がクラブのシンボルカラーである青に染まりました。

写真: 蔚山HD提供(イルガンスポーツ2026年10月19日付記事掲載の報道写真) · 2026年10月17日の富川戦当日、今季最多の2万5,017人で埋まった観客席
予約は、メンバーシップ優先が10月12日、一般が10月14日(水)正午でした。クラブは、主要なプレミアム席が10分で、1・2階の全席が約5時間で完売したと発表しています。
この試合のチケット価格は通常のホームゲームと同じで、HD現代重工業と連携した家電の景品抽選も付きました。試合はイ・ジンヒョンとヤゴの連続ゴールで2対1の逆転勝ちとなり、蔚山は2位を守ってファイナルAへの進出を決めました(イルガンスポーツの報道も同じ内容)。
正直なところ、この数字だけでは、客席を埋めたのが歌なのか試合なのかは切り分けられません。クラブ関係者は、今後もスポーツとエンターテインメントを組み合わせた複合文化イベントを続けていく考えを示しました。
価格を上げずに、同じチケットで観客を4,800人以上も多く集めた点は、入場収入より客席の稼働率と場内消費に重心を置いた設計と読めました。

写真: Korece, Wikimedia Commons · CC BY-SA 4.0 · 2026年7月15日撮影、文殊サッカー競技場の入口
文殊サッカー競技場はどんなスタジアムか — 鶴が舞い上がる屋根、ワールドカップ準々決勝の舞台
文殊サッカー競技場は2001年4月28日に開場しました。開場を前にした2001年のソウル新聞の記事は、蔚山の市鳥である鶴が飛び立とうとする瞬間を外観に表したもので、鶴の翼にあたる部分が引張ケーブル(引っ張って支える鋼のロープ)だと説明しています。
柱をなくし、64本のマスト(柱状の支持材)がコンクリートの構造物を引いて支える方式で、記事は国内初の工法と紹介しました。入口の壁泉の滝には、蔚山の盤亀台岩刻画のクジラの図が刻まれているそうです。

写真: Haena96, Wikimedia Commons · CC0 · 2024年3月1日撮影、浦項のアウェイファンが試合後に選手団へ拍手を送る場面
2002年日韓ワールドカップでは3試合が行われました。英語版ウィキペディアによると、6月1日のウルグアイ対デンマーク(1対2、3万157人)、6月3日のブラジル対トルコ(2対1、3万3,842人)、6月21日のドイツ対アメリカの準々決勝(1対0、3万7,337人)です。
所有は蔚山広域市、運営は蔚山施設公団で、蔚山HDは2001年からここをホームにしています。収容人数は資料によって違います。
開場当時の記事は4万3,550席、ウィキペディアは3万7,897席と書いており、現在の正確な座席数は確定できませんでした。建設費は両資料とも1,514億ウォン前後で一致しています。
蔚山HDはどんなチームか — Kリーグ1で5回優勝、2025年9位から2026年2位へ
蔚山HDは1983年12月6日に現代虎として創設され、蔚山現代サッカー団を経て、2023年12月に現在の名前になりました。英語版ウィキペディアにまとめられたKリーグ1の優勝は1996・2005・2022・2023・2024年の5回、AFCチャンピオンズリーグの優勝は2012・2020年の2回です。
サポーターズの処容戦士は1997年に結成され、浦項スティーラーズとは東海岸ダービー、全北現代とは現代家ダービーで戦います。
昨年は順調ではありませんでした。蔚山は2025シーズンに12チーム中9位で終え、シーズン中のシン・テヨン監督の解任などの監督交代を経て、最終戦に負けながらも残留を確定させました。
今年は、蔚山出身のレジェンド、キム・ヒョンソク監督がKリーグ1で初めて指揮を執っています(2026年2月の報道)。
10月17日の富川戦の勝利で蔚山は勝ち点50の2位を守り、イ・ドンギョンは31試合で11ゴール12アシスト、ヤゴは16ゴールで得点1位を走りました(クラブ発表)。首位のソウルは2位の蔚山と勝ち点16差で先行し、ファイナルラウンドが始まる前に優勝を決めました。
ファイナルラウンドで蔚山は、10月24日にホームで浦項と2対2で引き分け、11月1日にホームで江原を2対1で破りました(Kリーグ公式の日程・結果)。
11月の残りの日程は、8日がソウルでのアウェイ、21日が仁川でのアウェイで、次の文殊でのホームゲームは29日午後2時の全北戦(現代家ダービー)です。会場と時間は、行く前にクラブのお知らせで改めて確認してください。
文殊サッカー競技場への行き方とチケットの取り方 — クラブ・競技場の公式案内より
確認日は2026年11月2日です。クラブ公式サイト(uhdfc.com)の入場券予約ページは、この日もう一度開いても本文がテキストとして読めず、価格表と座席表を自分で確認できませんでした。
以下の情報はクラブのお知らせと公開資料を集めたもので、公式のアクセス案内ページを開いて確認した内容ではないことを、先にお断りしておきます。
住所は蔚山広域市南区文殊路44(玉洞)です。市内から離れた郊外なので、移動の計画が必要です。
英語のスタジアムガイドは、蔚山市庁から約5.5km、高速バスターミナルから約7.5km、高速鉄道(KTX)の蔚山駅から約17kmと紹介し、2023年の海外のグラウンドホッパーの訪問記はターミナルから9kmと書いているので、資料によって距離が少し違います。
この訪問記は、蔚山に地下鉄はなく、市内から直行座席バス5004番で入口前まで約45分かかり、試合後はバスがすぐ満員になると書いていました。別のガイドが挙げている104・114・411・426・407番などの路線は年が不明なので、路線は出発前に地図アプリで確認し直すのが安全です。
試合後のタクシーとバスは北側スタンド側のほうが早い、という感想もありました。
駐車場は観光情報ページに3,970台規模と載っていますが、今回のBIG CROWN LIVEのようにキックオフの3~4時間前から周辺が混んだ日は、車のほうがむしろ不確定要素でした。競技場施設の問い合わせ先として、同じページは052-220-2002を載せています。

写真: Haena96, Wikimedia Commons · CC BY 4.0 · 2025年2月16日撮影、文殊サッカー競技場のアウェイ席のFC安養のファン
チケットは、クラブのお知らせにあるとおり、蔚山HD公式サイトとチケットリンクのサイト・アプリで予約します。順番は、メンバーシップ優先予約のあとに一般予約です。
2025シーズンのメンバーシップのお知らせには、試合の5日前に優先予約、3日前に一般予約と書かれていましたが、2026シーズンのルールは確認できませんでした。メンバーシップは公式サイトで加入し、5つのグレードがあり、グレードごとに優先予約できる座席の範囲が違います(2025シーズンのお知らせによる)。
価格は公式の価格表を確認できなかったため、3年前の訪問記の数字だけを参考として書きます。その記事は、西側スタンドの一般席を1万8,000ウォン、東・南・北スタンドを1万4,000ウォンから、テーブル席を7万5,000ウォンと紹介していましたが、現在の価格とは違うかもしれません。
確かなのは、BIG CROWN LIVEの試合が通常のホームゲームと同じ価格だったというクラブのお知らせです。海外発行のカードで決済できるか、モバイルチケットでの入場方法、再入場とバッグの持ち込みのルール、英語の予約画面があるかどうかは確認できませんでした。
クラブの代表電話は、ホームページの下部に052-209-7000と載っています。
海外のファンにとって最大のハードルは、価格よりも予約の流れだと思います。人気の試合は、正午に一般予約が始まって数時間で1・2階が締め切られ、ガイド記事も韓国語の予約アプリを使うことを前提に書かれていました。
同じ競技場を訪れた海外のファンが、ハーフタイムの15分前に食べ物を買うよう助言していた点からも、行列が長い場所だという印象が読み取れました。
観客とチケットの数字 — 2024年のホーム35万3,615人、入場収入58億ウォン
スポーツソウルが2024年12月にまとめた資料によると、蔚山の2023シーズンのホーム19試合の総観客数は34万5,990人(平均1万8,210人)で、創設後初めて30万人を超え、2024シーズンは35万3,615人(平均1万8,611人)で記録をまた更新しました。
コロナ前の2019シーズンの平均が9,692人でしたから、ほぼ2倍に増えました。蔚山の人口は約110万人で、延べ人数で市民3人に1人が競技場を訪れた計算だと記事は説明しています。
入場収入は2022シーズンが20億ウォン、2023シーズンが42億ウォン、2024シーズンが58億ウォンでした。クラブは2023年の入場券収益を40億ウォンと明らかにしたことがあり(スポーツ京郷2024年5月)、2つの資料は2億ウォンほど違いますが、集計時点や基準の違いとみられます。
2024年の入場収入を総観客数で割ると1人あたり約1万6,400ウォンになりますが、シーズンチケットと割引が混ざった平均なので、実際のチケット代ではありません。
今季はKリーグ公式の日程・結果データ(ホーム18試合、11月1日の江原戦まで)で自分で集計しました。合計20万6,696人、平均1万1,483人で、2024年の平均1万8,611人より低く、2万5,017人は今季平均の約2.2倍です。
コンサートのあとのホームゲームは、10月24日の浦項戦が1万5,228人、11月1日の江原戦が7,038人でした。この数字だけでは、公演の効果が次の試合に続いたかは判断できず、相手や曜日・時間帯によって変動幅が大きいことだけが確認できます。
フード・グッズ・スポンサー — 16店舗、常設店は2日で1億ウォン
スポーツ京郷2024年5月27日付の記事によると、競技場には売店・フード・レストラン・カフェが16か所あり、キックオフの4時間前から営業していました。ホームゲームは年25日前後なので、地元の業者を出店料なしで招き、2024年4月には南区に常設店もオープンしました。
この常設店は2日間で1億ウォンの売上を上げたそうです。クラブが明らかにした2023年の実績は、入場券40億ウォン、グッズ16億ウォン、飲食14億ウォンでした。
2024シーズンについて、スポーツソウルはユニフォーム・グッズの総販売額を90億ウォン(クラブの売上に計上されるライセンス収益は10億ウォン)、F&Bの総販売額を20億ウォン(クラブの売上に認識される分は4億ウォン)と伝えました。
ユニフォームは2023年の約1万5千枚から2024年の約2万5千枚に増え、2025年の目標は3万5千枚でした。集計の範囲が違うため、2023年のグッズ16億ウォンと直接は比べられません。
スポンサー面では、グループ会社との連携が目立ちます。2024年10月にはHD現代インフラコアがディベロンのブランドデーを開き、社員と家族、地域の結縁児童など700人あまりを招き、メンバーシップの加入特典にはHD現代オイルバンクの給油ポイント2倍が入っていました。
今回のBIG CROWN LIVEにも、HD現代重工業が共同企画者として名を連ね、会場でブースを運営しました。競技場に企業名がつくネーミングライツ(施設に企業名をつけられる権利)の契約は今回の調査では見つからず、代わりに360度のLEDリボンビジョンが新しい広告インベントリ(販売できる広告枠)として使われる余地はありそうですが、この部分は私の推測です。
サッカー場の隣に野球団ができた — 文殊野球場と蔚山ホエールズ
文殊サッカー競技場のすぐ隣には、2014年に開場した文殊野球場があります。OSENの2024年10月の記事は、当時この球場はロッテ・ジャイアンツの第2球場として1軍の試合が年6試合前後あるだけで稼働率が低かったと伝え、蔚山市長が日本・札幌のエスコンフィールドを視察して野球への関心を高めたと書いています。
その後、蔚山にはKBOのフューチャーズリーグに参加する市民野球団、蔚山ホエールズが生まれました。ホーム開幕戦には7,299人が入り、7月15日の報道時点で37試合の累計が5万人を超え、1試合平均は1,364人でした。
シーズン最後のホームゲームは9月13日に文殊野球場で行われ、予約の特別価格は1,000ウォンからでした。

写真: Rienzi, Wikimedia Commons · CC0 · 2023年9月5日撮影(3年前の写真)、文殊野球場の一塁側内野上段から見たナイター
同じ敷地で、サッカーは2万人台、野球は1,000人台の観客を集めています。数字は大きく違いますが、1つの敷地に2つの競技が入ると、駐車・フード・グッズの動線を共有できるので、今後、競技場の運営面でどんな相乗効果が出るかは注目に値します。
Jリーグと比べると — 蔚山の平均1万8,611人、J1の平均2万355人
国内のクラブとの比較は省き、同じスポーツソウルの資料から海外との比較だけを紹介します。2024シーズンのJ1リーグ(20チーム)の平均観客数は2万355人で、蔚山の1万8,611人はその90%ほどでした。
同じ記事は、2024シーズンの蔚山の売上480億ウォンを2023年のJ1で見ると、中位より上だと計算しました。
今回のBIG CROWN LIVEの2万5,017人はそのJ1の平均を上回る数字で、イベント型のホームゲームが平均観客数をもう一段引き上げられるかが、これからの注目点です。ただ、今季の蔚山のホーム平均(1万1,483人)は2024年のJ1平均の半分をわずかに超える程度で(異なるシーズンでの比較)、コンサートのない日の客席をどう埋めるかも一緒に宿題として残ります。
10月17日のコンサートの日の客席は、偶然というより設計された結果だった、というのが私の解釈です(クラブがそう述べたわけではなく、私の推測です)。初めて行く方なら、この競技場で試合を1つ見るだけでも十分ですが、同じ日にコンサートやイベントが重なるなら、早めに着く理由がもう1つ増えます。

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