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9月18日にKリーグが発表したクラブ賞の一覧に、全北現代の名前が2つ並びました。14〜26節のホーム6試合の平均有料観客数が1万8,237人で最多観客賞(フル・スタジアム賞)、直前の期間より3,103人増えて観客増加幅1位(プラス・スタジアム賞)まで手にしたという発表でした。
成績が上位から一歩下がったシーズンに観客の指標だけが前に進んだことになり、現役マーケターとしては「何が人々を球場に呼んだのか」をまず確かめたくなりました。
その答えを探すため、球場そのものの歴史から、球団の今年の商品構成、全州市と分け合っている役割まで、順に確認してみました。この記事の順位と数字は大半が9月20日の30節までの資料なので、その後の試合結果は反映されていないことを先にお断りしておきます。

写真: Haena96 · 出典: Wikimedia Commons · ライセンス: CC0 1.0 · 2024年7月20日撮影
「全州城」という名前の由来と、2002年6月17日にアメリカがメキシコを破った日
全州ワールドカップ競技場は2001年11月8日に開場し、全州市が所有し、全州市施設管理公団が運営する施設です(英語版ウィキペディア)。ファンはここを「全州城(チョンジュソン)」と呼びますが、このあだ名は新しい球場から始まったものではありません。
球団が使っていた旧・全州総合競技場のあだ名をそのまま受け継いだもので、レンガを積んだ大きなアーチ形の入口の上に伝統的な屋根をのせた姿が城郭のようだったことから付いた名前だと、韓国語版ウィキペディアに書かれています。2002年に全北が新しい競技場へ移ったとき、名前も一緒に引っ越してきたわけです(ナムウィキの「全州城」の項目)。
屋根は合竹扇(折りたたみ扇)を、柱は ソッテ(村の入口に立てる伝統の柱)を、屋根を支えるケーブルは伽倻琴の12弦をかたどったという説明も、韓国語版ウィキペディアに一緒に載っています。
この球場で行われた2002年ワールドカップの試合は3試合でした。6月7日のスペイン対パラグアイ(3-1)、6月10日のポルトガル対ポーランド(4-0)、そして6月17日の決勝トーナメント1回戦、メキシコ対アメリカ(0-2、観衆3万6,380人)です。
韓国代表はD組1位で勝ち上がり、6月18日に大田でイタリアと対戦しましたが、ナムウィキにはD組2位のチームが全州で1回戦を戦う日程だったとまとめられています。実際にD組2位だったアメリカが全州でメキシコを2-0で下したので、この説明と結果は合っています。
韓国の1回戦が全州で行われていた可能性もあったという話で、地元にとってその分かれ道が惜しかったかどうかは私の推測にすぎず、確認された事実ではありません。ただ、ワールドカップの決勝トーナメントが行われた球場をKリーグの球団が24年間ホームとして使っていること自体が、球団が売れる物語の元手だと思います。

写真: PaoPao1985 · 出典: Wikimedia Commons · ライセンス: CC BY-SA 4.0 · 2002年6月17日撮影
全北現代はどんなチームか: 10回目の優勝を果たしたクラブの今季の成績表
全北は1994年12月に現代自動車が前身クラブの選手団を引き継いで創設し(英語版ウィキペディア)、Kリーグ1最多の10回の優勝(2017〜2021年の5連覇、2025年に10回目)と、アジア・チャンピオンズリーグ2回(2006・2016年)を持つクラブです。
コリアカップの優勝は2025年分を含めて6回で、2025年12月6日の決勝で延長の末に光州を2-1で破りました。2025年にはリーグとコリアカップを同時に制するダブルに、22試合無敗の記録まで打ち立てました。
シーズン終了後にガス・ポジェット監督がチームを去り、金泉尚武を率いていたチョン・ジョンヨン監督が12月24日に新監督として就任しました。
今季の流れは、そのときほど滑らかではありません。9月20日にホームで最下位の光州と2-2で引き分け(チアゴが2得点、アディショナルタイムに同点を許す)、4位になりました(全北日報)。
チーム内の最多得点はイ・スンウの8得点(ナムウィキの集計)とまとめられています。リーグは33節のあとで上位・下位グループに分かれる方式なので、残り3試合がレギュラーラウンドの勝負どころになります。
観戦のコツも一つ書いておくと、公式サポーターグループのマッド・グリーン・ボーイズ(MGB)は北側スタンドにいるとされています(英語版ウィキペディアによる)。
旅行口コミサイトには、「全州ICから近くてアクセスはよいが、市内からは20分の距離で、近くに食事できる場所がほとんどない」という口コミが残っています(トリップアドバイザーの口コミ)。口コミごとに書かれた時期が違うので、今とは違うかもしれません。
観客とチケット: 1万8,237人という数字の内側
まず今年の指標です。第1期間(1〜13節)にはFCソウルがホーム6試合の平均2万4,836人で最多観客賞を受け(スターニュース)、全北はその期間の平均が1万5,134人でした。
第2期間に1万8,237人まで上がり、3,103人増えたわけです(スターニュース)。Kリーグ公式の観客状況では、全北の2026シーズンのホーム15試合の累計は24万2,002人、平均1万6,133人で、FCソウル(28万5,903人)に次ぐ2位と出ています(Kリーグのデータ)。
一方、2025年はリーグのホームで36万8,505人で、全北日報は1試合の平均を1万8,425人と伝えました。今年の平均1万6,133人は昨年より低いことになります。
賞を受けた期間の反発が、シーズン全体の平均を押し上げるまでには至らなかった点も、あわせて読まなければ公平ではありません。

写真: Haena96 · 出典: Wikimedia Commons · ライセンス: CC0 1.0 · 2024年7月20日撮影
2025年の数字はもっと多様です。球団の集計では、リーグ36万8,505人にアジア・チャンピオンズリーグ1万863人、コリアカップ6,048人を合わせて計38万5,416人で、このうちシーズンチケットでの入場が7万2,681人、一般の有料入場が31万2,735人でした。
チケットを買った会員2万7,766人のうち72%が全北在住者で、家族単位の購入は2023年の6,355人から2025年の1万670人へと、3年で約68%増えたと報じられました。
総観客のうちシーズンチケットの割合が約19%(7万2,681÷38万5,416、私の計算)という点は、意外に低く感じました。通常、球団にとってこの比率が高いほどキャッシュフローが安定するので、一般予約の比重が大きい構造は長所であり、宿題でもあります。
2025年10月18日の水原FC戦には2万1,899人が入場し、その時点の累計ホーム観客数が31万5,105人(2015年の記録33万856人に迫る)でしたが(現代自動車グループのニュースルーム)、シーズン最終のリーグ合計36万8,505人はその数字を超えます。
チケットの構造は今年変わりました。座席名をE・W・S・Nの方位と性格を合わせた方式(E一般席、W お得席など)に簡素化し、球団のアプリ・ウェブでの予約は外部の予約サイトより3,000ウォン安く、当日購入がいちばん高い構造です。
優先予約は試合の5日前、一般予約は4日前に開き、西側スタンドの視界制限区域を改造したWテーブル席168席が新設され、スカイボックスは12人から15人に増えました(全北日報)。正確な座席別の価格は、球団の予約ページで確認してください。
それでも、「アプリで買えば安い」という一行が会員データを積み上げる仕掛けであることは、同じマーケターとしてはっきり読み取れます。
空間活用とグッズ: 試合のない日にも門を開く球場
旅行の口コミに残った不満の一つが「近くに食事できる場所がない」だったとすれば、球団が今年出した答えは、球場の中に滞在できる空間を取り入れることでした。
2026年3月28日に正式オープンしたファン・エクスペリエンス・センターは、韓国のプロスポーツ初の有料常設クラブミュージアム、イベントホール、オフィシャルストアで構成されます。ミュージアムツアーは週末1日に約6回で大人1万ウォン、試合日だけ行うマッチデイ・ツアーは3万ウォンで、選手団とハイタッチをする場面が入っています(現代自動車グループのニュースルーム)。
4月4日に始まったマッチデイ・ツアーのパッケージは、5月分まですぐに完売したと報じられました。

写真: Haena96 · 出典: Wikimedia Commons · ライセンス: CC0 1.0 · 2024年8月17日撮影
グッズも同じ流れです。2025年10月17日に東側1階の空きスペースの一部にオープンしたオフィシャルストアは、水〜日曜の午後1時から7時まで営業し、新商品20種あまりとオフライン限定商品を販売し、それまで使っていた「チョロキネ」はそのシーズンまでマーキングブースと一部の普及型商品の販売に使うと案内されました。
スカイボックス1室を改装して4月26日にオープンした「ムシンサ・スタンダード・ルーム」は、試合の7日前から球団のアプリ・ホームページで予約する方式で、両者は2023年のユニフォーム・グッズのラッフルイベントを一緒に行った経緯があり、今年下半期にコラボのビューティー商品の発売を計画中だそうです(フットボール・アジアン)。
写真のピッチ脇の広告ボードに現代自動車と全北銀行のロゴが大きく見えますが、こうしたボード広告とは別に、スカイボックスをブランド体験空間として売る方式は、広告インベントリを増やすよい事例だと思います。
全州市と分け合う役割: 古い球場を直しながら使い続ける方法
球団は2025年の成果の背景として、全北現代、全州市、全州市施設管理公団の3者が「市民の余暇の増進と公共体育施設の活用の最大化」という共同目標のもとで役割を分担した点を挙げました。
施設の改善も一度に全面改修をするのではなく、来場者の目にすぐ入る場所から順序を決めて直したそうです。ゲートの再塗装、LED照明の交換、タッチライン外の人工芝の造成がその例です(フットボリスト、人工芝造成のニュース)。
芝の管理は、第2期間のグリーン・スタジアム賞で大田ワールドカップ競技場に次ぐ2位と評価され(マックススポーツ)、第1期間には全北がファン・フレンドリー・クラブ賞とグリーン・スタジアム賞を一緒に受けました(スターニュース)。
ただし、第2期間のファン・フレンドリーのスコアは、蔚山95.7点、済州85.7点に続いて全北が84.5点で3位でした。球団にとっては、施設もファンサービスも上位ですが、まだ1位ではないという意味に読みました。
海外の事例と比べてみると: 市が持つ球場、ファンがつくった球場
先に取り上げた日本のガンバ大阪のパナソニックスタジアム吹田は、法人721社と個人3万4,627人が集めた約140億円で建てた「市民募金のスタジアム」で、2025年のホーム19試合の平均は3万7人でした。
全州城はその反対側にあります。所有と運営を市が担い、球団はその中でファン体験を上乗せする構造です。
球団が所有権を持てない代わりに、施設の改修を市とどう分け合うかがそのままマーケティングのスピードを決めるという点が、今回のリサーチでいちばん強く残った部分です。
球団が市に払う使用料などの具体的な条件は、今回は確認できませんでした。そのため、「市所有の球場は球団に不利だ」といった一般論は書きません。
ただ、2001年に開場した球場が25年にわたって手入れを続けるなか、観客の指標が第2期間に反発したという事実は、大がかりな新築がなくてもファン体験を変えられる選択肢があるという一つの事例として見ることができると思います。
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